記録遺産を守るために
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会【全史料協】
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4 復旧
4−1 復旧計画の作成
 復旧は受けた被害に即して行われるので、事前に対応を検討する必要はあまりありません。
 ここでは復旧計画で行うべき事項について述べておきます。

 4−1−1 資料被害に関する記録の作成
 ・不幸にして被害を被った資料に関する記録を作成します。
  特に滅失した資料はどのようなものであったかの一覧を作成します。
 ・今後の参考とするために、出来れば被災記録集や復興史などを作成します。

  4−1−2 被災資料の修復にかかるプログラムの作成
 救出した被災資料の修復について、そのプロセスと期間及び経費に関する計画を立案します。
 被災資料の修復処置
 ・必要なものから専門的あるいは一時的な修復を行います。
 ・さしあたって利用が少なく修復しない被災資料は、中性保存箱(フェイズドボックス)等に
  めます。その後定期的な確認を行い、必要なら修復します。
 資料の代替化
 ・廃棄不可能な資料でそのままでは利用できない資料は、マイクロ等で代替化します。
 ・実物で代替可能な資料は、実物で代替します。
 ・代替物でもよい資料または一時的な利用しかしない資料は、現物の入手あるいは複製物の
  作成後、廃棄します。
 ・利用頻度の高い資料から代替化します。

  4−1−3 被災した建物、設備の修復にかかるプログラムの作成
 被災した建物については、必要に応じて施設の清掃、消毒、修理・修復などを行うことになります。また収納具等の設備についても、必要に応じて壊れた収納具等の修理・交換などを行い、また中性紙保存箱(フェイズドボックス)等の交換・入れ替えなどを行います。建物及び設備の修復について、そのプロセスと期間及び経費に関する計画を立案します。



4−2 文書館の再開に向けたプログラムの作成
 災害によって文書館は閉館を余儀なくされることがあります。開館へのプログラムを作成し、それに沿った復旧計画を立案することが重要です。特に、施設が地域住民の避難場所となった場合、職員が外部の復旧に動員されている場合、さらに他の施設と併立している場合等では、さまざまな調整が必要となります。



4−3 防災対策の長期計画の立案
 災害はそう度々起こるものではありませんので、その経験は受け継がれにくいものです。しかしその経験を踏まえて防災対策を進める他にはより良い防災対策はありません。災害のあとは問題点も明確であり、関係者の意識も高く、そのために経費の獲得の面でも優位な状況にあります。
 この時期にこそ、より良い災害対策を目指した長期的防災計画を立案すべきです。