記録遺産を守るために
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会【全史料協】
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要望書「21世紀日本のアーカイブズに関する要望について」の提出について
 総務省によれば、市町村合併に向けた合併協議会を設置した市町村の数が、法定・任意を合わせて1,600を超え、全国の市町村数の半数以上にのぼっています。平成17年(2005)3月末までとされる合併特例法の期限に向けて、まさに市町村合併をめぐる動きが全国的にいよいよ本番に入ったといってもよいでしょう。
 この間、全国の歴史資料保存利用機関や地方自治体の文書管理担当者、自治体史編さん担当者等で構成される全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(略称、全史料協)は、平成13年(2001)11月、合併に伴う公文書の散逸や廃棄を危惧し、その適切な保存措置を求めた要請文を総務大臣宛に提出し、翌年2月にこれを受けた総務省からは「市町村合併時における公文書等の保存について(要請)」の通達が都道府県市町村合併担当を経て全国の市町村へ出されています。
 また、全史料協では、平成14年(2002)7月に、総務省通達文の追跡調査を目的とした市町村合併時における公文書等の保存についてアンケート調査を実施するとともに、同年10月16日から3日間、富山国際会議場を会場として第28回全国大会を開催し、大会テーマの「21世紀の史料保存と利用−市町村合併をとりまく諸問題−」について300名を超える参加者が活発な意見交換を行ったところです。
 この大会では、アンケートの結果報告や参加者からの意見として「公文書館法」(昭和62年法律第115号)に対する認識不足や規程の未整備といった文書管理に関する問題点等が出され、また市町村合併に伴う公文書等の保存に関わる様々な課題が提起されました。
 「公文書館法」第3条には、「国及び地方公共団体は、歴史資料として重要な公文書等の保存及び利用に関し、適切な措置を講ずる責務を有する」と規定し、地方自治体における公文書等保存の責務を明確にしております。公文書等は住民の共有の財産であり、その保存と利用は合併する各地方自治体の手に委ねられているといっても過言ではありません。また文化行政の視点からも公文書等の保存は無視できない大きな問題です。
 このたびの市町村合併にあたっては、合併を協議する場である合併協議会等において、歴史資料として重要な公文書等が散逸や廃棄されることなく合併後の市町村に適切に引き継がれ、その保存と利用が将来にわたって保証される体制に繋がる条項をつくること、そして専門機関である文書館や公文書保存システムが多くの市町村に設立されることを切に望むものです。関係各位の御理解と御協力を願い、ここに声明を発します。

  平成15年8月1日
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会  


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