記録遺産を守るために 全国歴史資料保存利用機関連絡協議会【全史料協】
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専門職問題セミナー 講師との一問一答


 2月23日(木)に開催する専門職問題セミナーの講師、渡邉斉志さんにお聞きしました。

                            (調査・研究委員会 富永)
 渡邉さんは、なぜライブラリアンになったのですか。
 知の再生産活動に携わりたいと考えたからです。
ただし、自分が「ライブラリアン」であるかどうかは少々自信がありません。
「リサーチャー(調査員)」としての自意識もありますので。
 ご自分を専門職というふうに位置づけていらっしゃいますか。
 通常の意味での「専門職」だとは考えていませんが、専門的知識を活かして貢献することが使命だと思っています。
 お仕事のどのようなところが好きですか。
 自分が帰属するコミュニティに対し、優れた知見を生み出し、また、コミュニティ構成員とコラボレートすることによって、全力で貢献することが許される点です。
 ガバナンス、という点から見て、 ライブラリアンは医師や弁護士といったプロフェッションとどのような面で共通していて、また、どのような面で違いがあると思いますか。
 その職務が適正に行われなかった場合に 社会に及ぶ負の影響の度合いという点で異なっており、 そのことが養成制度や資格制度の違いに大きく反映されていると思います。
 なお、正規職員の場合は特に、専門職化の度合いという点で 古典的プロフェッションに劣後していると思いますが、 図書館設置者によるガバナンスに服する部分が大きいということは、 「自律性の不足」という面ではなく、むしろ「(当該組織の)メンバーシップの意義」という面から 積極的に捉えることができるのではないか、と考えています。
 アーカイブズ界に期待するところは何ですか。
 アーカイブズが知的活動のインフラストラクチャーとなり、 かつ、アーキビストが付加価値の高いサービス・事業を展開することで、 図書館など様々な施設・機関と連動的に機能しながら 国民・地域住民の福祉の向上が図られてゆくことを期待しています。
◆講師プロフィール◆

渡邉斉志(わたなべ・ただし)

北海道大学文学部を卒業後、国立国会図書館に勤務。
石狩市(北海道)において図書館長を務めた後、 2010年から国立国会図書館関西館に所属。
主な著作に「司書職制度の限界」『公共図書館の論点整理』(共著)(勁草書房 2008)、 「公立図書館におけるレファレンスサービスの意義の再検討」『Library and Information Science』(2011)、 「知的自由の陥穽―利用情報保護思想が公立図書館に及ぼす影響の分析」『Library and Information Science』(2007)、 「都道府県立図書館の機能に関する言説の批判的分析」『現代の図書館』(2006)などがある。
 詳細、申込用紙は下記リンクへ  http://www.jsai.jp/info2011/info20111215.html