記録遺産を守るために
全国歴史資料保存利用機関連絡協議会【全史料協】
トップページ
 来賓あいさつ     独立行政法人 国立公文書館 理事 高山 正也 氏
 ただいま、ご紹介いただきました国立公文書館理事(慶応義塾大学教授)の高山正也でございます。今年4月に就任いたしました。
 全国歴史資料保存利用機関連絡協議会の第31回全国大会の開催に当たり、国立公文書館を代表し一言ご挨拶を申し上げます。
 まず、本日、ここに御参集の皆様方は、公文書やその他の記録の収集・整理、保存及び利用のための実務や調査研究という極めて重要な業務に長く携わっておられる方々であり、日頃の御労苦に対し、心から敬意を表する次第であります。
 国立公文書館を巡る動向について、ご紹介いたします。
 当館は、平成13年4月、独立行政法人国立公文書館として新たなスタートを切って以来、この3月に第一期4年間の中期目標期間が終了し、本年4月から5年間の第二期中期目標期間が始まりました。
 この第二期中期計画として、以下の7項目の事業に力を入れていることを紹介いたします。

一 [内閣府の「懇談会」に基づく公文書館活動の強化・充実について]
 各省庁からの公文書の確実な移管を促進するべき「公文書等の適切な管理、保存及び利用に関する懇談会」報告を踏まえて、公文書等の移管基準について定型的な基準を導入する等の改正を行い(17.6.30)、公文書等の移管促進が図られ、具体的には、従来の基準に加え、(1)保存期間30年以上経過した文書 (2) 閣議請議文書 (3)事務次官以上の決裁文書といった明確な基準を設け、これらを原則として移管対象とすることなどを講じたところです。
 また、新たな方向を見出すため、懇談会では、中間書庫システムの検討のための「中間段階における集中管理の仕組みに関する研究会」や情報技術及び電子政府化の急激な進展への対応のため「電子媒体による管理等のあり方に関する研究会」で検討が進められております。

二 [合併市町村の公文書保存問題について]
 皆様に直接関係のある問題としては、合併市町村の公文書保存問題があります。
 本年5月にアンケート調査を実施し、6月に沖縄県で開催した「都道府県・政令指定都市等公文書館長会議」において、都道府県の公文書館等知事部局の文書主管課等と緊密な連携を取りつつ、合併市町村等の担当部局に対する指導・助言、また、必要な場合には対象文書等の保存場所の確保等の協力を行うことなどを強く要望したところであります。特に、6月16日付で当館館長から総務大臣に対し、要請書を提出し、適切な措置を講ぜられることを求めたところ、総務省はこの要請の趣旨を踏まえ、大臣官房総括審議官から各都道府県知事に対し通知を発出し、全国の関係市町村における公文書保存について適切な処置が採られるよう徹底が図られたところです。このために、各地域における各位の強力な働きかけを期待します。

三 [公文書館活動の国際交流について]
 国際会議では、(1)平成17年3月に行われたICA役員選挙の結果を受け、4月下旬にワシントンDC(米国)で開催されたICA執行役員会で、館長がICA 第一副会長に選出され、2005〜2007年に開催される国際公文書館円卓会議(CITRA)の運営を委任されました。(2)9月11日から17日まで中国のクルムチで開催された第7回EASTICA総会及びセミナーに館長等が参加しました。館長はICA副会長として出席し、総会等で挨拶を行い、その中で 2007年EASTICA総会を日本において開催することを表明し、総会で了承されたところです。この日本での総会開催に当たっては、特に全史料協とその会員の皆様の積極的な参加及び協力をお願いするものです。
 また、クルムチでのセミナーでは当館職員が「重要記録の保存と利用〜国立公文書館デジタルアーカイブの試み〜」、「災害とアーカイブ記録〜日本の取組〜」を発表し、我が国の実情を紹介するとともに、参加各公文書館関係者との交流を深めたところです。

四 [海外公文書館との交流について]
 国際交流の主なものとしては、スマトラ沖地震・インド洋大津波で壊滅的被害を受けたインドネシアの公文書館等の資料救済支援のため救援募金を行い、当館を4月に訪れたジョーコ・ウトモインドネシア国立公文書館長に館長から直接、寄付金をお渡しすることができました。
 また、オランダ、カナダ等の公文書館首脳やARMAの代表者等との交流を深めております。

五 [国立公文書館の国民各層への浸透・周知について]
 ホームページにおいては、国立公文書館の利用者の視点に立った情報提供、サービスの提供を目指し、「所蔵資料の紹介」などを掲載しているほか、アジア歴史資料センター、国の保存利用機関、地方公共団体の公文書館等のリンク集も掲載しています。
 また、公文書閲覧の検索機能の強化と利便性を図るため、目録画像をリンクした形でのデジタルアーカイブシステムや高画質・大容量の画像によるデジタルギャラリーのサービスを本年4月から開始するとともに、今後、更なる充実を図っていくこととしております。
 是非、皆様も国立公文書館のホームページにアクセスしていただき、デジタルアーカイブをご活用ください。

六 [専門職員(アーキビスト)の養成について]
 アーカイブズの発展に不可欠な公文書館の専門職員の(アーキビスト)養成については、館として理事が主宰する「公文書館制度を支える人材養成等のためのプロジェクトチーム」を設置し、国の文書担当者等を対象とする研修の充実策、国及び地方公共団体等の保存利用機関の職員に対する研修の充実など、専門職員(いわゆる「アーキビスト」)養成の一層の強化方策などを検討しております。これらの研修への関係者の積極的な受講参加と貴下職員への受講機会の賦与に格段のご配慮をお願いします。

七 [力強い外部からの応援として]
 本年3月には、諸外国に比べて大きく立ち遅れている我が国の公文書館の置かれてた状況を憂慮し、国際的に見て遜色のない公文書館体制を確立すべく、考えを同じくする有志の国会議員による「公文書館推進議員懇談会」が設立されております。今後の公文書館活動振興に向けて、力強い応援をいただけるものと期待をしております。
 このように、公文書館の果たすべき役割や重要性について社会的認識が高まり、広がりを見せてきた中にあって、国立公文書館としては、歴史資料として重要な公文書、その他の記録の保存及び利用に関する我が国の各機関の中核として、課せられた使命・期待に応えるため、館の業務を積極的に実施する所存です。
 今大会においては、「アーカイブスの新時代へ〜現場からの提言〜」をテーマとして、研修会や分科会が行われると伺っておりますが、今大会での議論の成果をここにご参集の皆様方がそれぞれの地域・職域において生かすことにより、我が国における公文書館制度をますます充実させていただくとともに、我が国の各方面にアーカイブズを定着させることは私どもに課せられた重要な責務であると考えます。
 国立公文書館理事の立場から、本日ここにお集まりの各位の地域・職域での公文書館活動を、国立公文書館との連携を一層深めることにより、確立し、強化し、発展されることを強く期待するものであります。
 最後に本日、このような場を与えてくださった福井県文書館や全国歴史資料保存利用機関連絡協議会の皆様方に心から御礼申し上げますとともに、ご参集の皆様方のなお一層のご活躍と本会の益々のご発展を祈念し、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。